第2部 礼典諸式 第14節 結婚式に関する注意 結婚式および披露会に関し、この注意事項十七項目を参考に記すことにした。当事者は一応目を通しておくべきである。 1 双方打合せて結婚の期日を決定し、二週間位前には関係者に招待状を出すこと。(様式は付録にある) 2 挙式の詳細は司式者各自によって多少の違いがある。たとえば、二人の牧師が分担してすることもあり、また説教を略して式辞だけにすることもある。それは牧師と当事者によって決める。 3 司式者は、式前に式場となる会場を視察し、楽器の有無、会場の設備、通路の有無とその長短などを考慮に入れて、臨機応変の処置をとれるようにしておくこと。和室のときは、最初から前方に新郎新婦の席をつくって座らせ、挙式の時に起立させることもある。 4 挙式以前に、付添人と新郎新婦とが奏楽とともに入場する際の速度、講壇前の一定の位置における姿勢等を新郎新婦に教えておく必要がある。奏楽入場の際、二人並行して入場できる場合には、男子付添人の右側に新郎が、婦人付添人の右側に新婦が来る。一列で入場する場合には、先頭に男子付添人、次いで新郎、婦人付添人、新婦という順序で入場する。また露払に子供が先頭になって通賂に花をまくこともある。なお入場が始まる時に、司式者は一同を起立させ、讃美歌を歌ってから着席させる。 (他の順序としては、前奏とともに新郎が先に入場して講壇の所に行き、牧師とともに新婦の入場を待ち、新婦は親または友人の手に引かれて奏楽に合せ取って牧師の前に立つ、という仕方もある。) 5 新郎は常に新婦の右にいること。新郎新婦が司式者の前に並んで立った時、付添人はそれぞれ左右に分れて斜め後方に立つ。 6 新婦が最初から花束を持って入場したときは、誓約の握手をする前に新婦付添人に花束を渡すこと。そうでないときは、誓約後新郎新婦がそれぞれの位置に着席した時、奏楽中、少女が花束を新婦にささげることもある。 7 指輸を用いるときは、前もってそれを司式老に渡しておき、司式者は握手前に新郎に渡し、新郎はその指輪を新婦の左手第四指にはめる。 8 誓約が終ってからそれぞれの定めの位置に着席する。新郎新婦は並んで着席し、付添人は両側か、新郎新婦と向かい合って着席する。 9 式辞や説教は、そのとき示された聖句に基づき、十分位で簡潔に終る。(例マタイの福音書七章二四-二七節、箴言一九章一四節等を用いる。ただし場合によって省略することもある。) 10 新郎新婦に対する一般会衆のあいさつは、祝電披露後、新郎新婦の前に進み出てするときもあり、退場後、入口で新郎新婦が待っていて「おめでとう」のあいさつを受けることもある。それは、会場と記念写真撮影、または披露会等の関係上、一定できない。 11 退場のときは、新郎新婦を司式者の前に(初めの定位置に)起立させる。頌栄、祝祷の終った後、奏楽中、新郎新婦はまず司式者に向かって黙礼し、次に会衆に黙礼し、先頭に新郎、次に新婦、続いて男女付添人の順序で、入場同様、静々と退場する。 12 結婚式のプログラムは、活版、タィプ、孔版等の印刷を使用して製作する。表面には中央に新郎新婦の姓名を並記し、その下に「結婚式順序」、左に年月日、次の行に式場名、あるいは教会名、その所在地等を記す。内側の式順序には、最初に司式者の職名および姓名を記入し、その他の事柄については一一四頁に掲げる例文を参照のこと。 13 披露会には、別に進行係をおいて両家とよく打合せをすること。また祝辞を述べる人々とも打合せをし、ときには友人、知人の自己紹介と短いお祝いのことばをいただくこともよい。この時、仲介人は「結婚式が終了しましたので、これから披露会をいたします」と報告し、まず新郎新婦の紹介と両家の関係者の紹介をする。 祝辞はあまり儀式ばらずにユーモアを多分に含むものとし、ときとしては、祝歌などもよい。 14 披露会の仕方にはいろいろある。キリスト教の考え方は挙式に重点をおくので、披露は両家の意向にまかせるが、簡単にお茶とお菓子、あるいはコーヒーか紅茶、洋菓子、果物等の程度ですませることが多い。一般杜交の幣害に従って酒席にならないよう、最後まで信仰的にしたい。(乾杯するときはぶどう液を用い、上役か長上者に提唱を依頼する。) 15 洋式披露会には食事中にウエディング・ケーキのナィフ入れがある。私たちはこれを世俗的なものとしないで、信仰的に取り扱いたい。これは新郎新婦の最初の「協力」を示すものであって、指導にあたる牧師(仲介人)は一同を起立させ、その意味を一同に説明した後、新婦の右手に飾り付ナイフを持たせ、それに新郎の右手を添えさせ(協力の型)、その上に牧師(仲介人)の手を置き、一同拍手のうちにケーキにナイフを入れる。その時刻については、前もってボーイと打合せておき、ボーイがそのケーキを持参した時、お茶とともに卓上に出す。 16 新郎新婦は旅行に出る都合で、中座してもよい。会場の花は、列席のご婦人たちに持ち帰っていただいてもよい。 17 新婦入場の際、レースの被り物が二重になっていて顔を覆っているときは、誓約直前に司式者の手によってその被り物を上に上げ、顔を現して後誓約にうつる。 以上は大略を述べたもので、その時機や両家の事情を考慮して、適当な処置をとる。ただし、従来の慣習を考慮することもよい。 キリスト教式で結婚式を挙げることは、新郎新婦の今後の信仰生活において、式に参列する親戚、上役、友人、知人に対して信仰告白をする最も良い機会であるから、神の御名をあがめ、祈りつつ準備をすべきである。 なお、周囲の人たちが信者であっても、本人たちが未信者の場合、牧師は前もって一応キリスト教の話をし、神の存在を認めさせて後、式を行うのがよい。